しぶき残し(ウバメガシ)



まだ小さなドングリ

大きくなりました

 秋なのに小さなドングリ〈左画像〉です。成熟するのは冬を越した来年の秋です。
 林内に落下したドングリはよく発芽し、初夏には稚樹がたくさん見られますが、
 夏の乾燥に耐えられず、盆過ぎにはほとんど枯死してしまいます。

 紀州備長炭の炭材となるウバメガシ原木林は、萌芽によって更新されてきました。
 炭用材として伐る時に、不用木や不良木の除去とともに、形状優れた原木林へ誘導するため「しぶき残し」というウバメガシの萌芽(しぶき)を促進する株矯正作業(萌芽択伐施業)が普通に行われ、そのことによってウバメガシの純林が維持されていました。
     しかし、今、いい原木林が無くなった!!
 焼子制度(原木林所有者と製炭者の慣習)の崩壊や、車が使われなかった昔は山中にあった窯が民家近くに築かれるようになり伐採と窯管理が分業化されたこと、そのことで農閑期の作業だった炭焼きが専業化して夏にも伐採したり、、さらにチェンソーの使用など収奪的な伐採が行われるようになったためと考えられます。  最近、その反省にたって原木林をよみがえらせようと取り組む人達も出てきています。


手入れの行く届いた
ウバメガシ純林


手入れ不足の
ウバメガシ林
径級がバラバラで他の樹種も混じっています。


夏期伐採後一年経過
画像中央で萌芽しているアラカシと、(手前)枯死寸前のウバメガシの株


伐採後2年目
(左)ハゼノキL=3m、背景アラカシ、手前ツブラジイ、(右)は萌芽力が強く、成長の速い他樹種によりウバメガシの占有度が狭められている状況。


伐採後2年目
(左)ツブラジイL=2mと、(右)ウバメガシL=0.7m

 

 紀州備長炭の生産は、急峻な山林内での原木調達、昼夜を徹した窯の管理、灼熱の練り入れ(左画像:アラシともいう)等過酷な労働条件とともに、築窯から窯出しに至る一連の作業は勘ともいえる独特の要領が必要であり、その技術は昭和49年に和歌山県の無形文化財として指定されています。

 紀州備長炭は打てば金属音のする世界一堅い炭。火力が強いうえ、パチパチと跳ねず、火持ちが良く、うちわ一本で微妙な火加減が可能。


最高級品「紀州備長炭」の完成

フウセントウワタのページへ             セイタカアワダチソウのページへ