鬼面じゃない(「和歌山の花と虫」的考察)


屋根の上で睨みをきかしている鬼瓦が必ずしも鬼面瓦とは限りません。
鬼面じゃない鬼瓦(飾り瓦)をピックアップしてみました。

先ず鬼より強い、鬼を食べるという鍾馗の鬼瓦です。
 


住まいにとって火難は一番に防ぎたい。瓦葺きは日本家屋の守りです。
その想いを屋根に載せているのが、波や雲、水鳥の鬼瓦
 
 立波になっているのは、鬼瓦を置く下の台で鬼台と呼ばれるもの。



鯱(シャチ)や鴟尾(シビ)も全しく水を呼ぶ者としてのせられます。
鯱は雨を降らせる想像上の魚で、鴟尾が変化したものと言われます。

 その鴟尾は瓦とともにやってきた最も古い装飾瓦です。
 神獣の龍も水の神です。  雨虎と書いて、あのアメフラシのことです。


家紋はその一族や屋敷の象徴です。






漢字、梵字や象形文字を鬼瓦にしているところもあります。

留蓋の上の飾り瓦の典型が獅子です。ライオンが元々のモデルのようですが、いろいろな変遷の中で創られてきた空想の守護獣です。
また、あいまいな獅子と狛犬の区別ですが、昔は角を持ち口を閉じたものを狛犬と言って、獅子と区別されていたようですが、
時代とともに、狛犬が獅子化し、角のある狛犬も少なくなっているので、区別する意味がないかと思っています。
私は屋根の上のものは全て獅子と呼ぶことにしています。

ちょっと変わり映え  馬ですね・・・?。

七福神や鶴亀、天女は家運、長寿、福を呼び込みたいという願いが・・・、
特にこのような瓦は留蓋(とめぶた)という半球状の瓦に乗っていることが多く、飾り瓦とも呼ばれます。





お椀か擬宝珠かちょっと区別しにくいのですが、これもよく見られる鬼瓦です。
桃や牡丹や蓮も縁起瓦です。

立物と呼ばれるものと、タヌキさん。これらは比較的新しい鬼瓦です。
   


五角形の箱形の上に「経の巻」をのせた獅子口と呼ばれる鬼瓦です。
鳥が留まっていても屋根の上なら違和感がありません。



そんな違和感のない鳥の飾り瓦は下段に

 ヤタガラスとニワトリは・・・?
それぞれ熊野権現、天照大神ゆかりの鳥たちです。


昔は、鬼面の睨む先のお隣の屋敷に災難が・・・というような事件もあったようで
威圧感のある鬼瓦は近所に気を遣います。
その点、鬼面じゃない鬼瓦は、屋根を飾り付けるオシャレな趣も感じられます。

最近多くの民家で使われているのは、カエズ等のシンプルでおとなしい鬼瓦です。
私、個人的には瓦屋根にはやっぱり鬼面ですが、、楽しい鬼瓦がもっと見つかればいいなとも思っています。
 みなさんもコストのかからない趣味の一つ、近所の「屋根の観察」はどうでしょう。
でも、あんまり上ばかり覗いて、足下がおろそかにならないように。。。。